大人の愛着障害「喜びを感じられない」事例 公認心理師 中野日出美

愛着障害が「自己肯定感」を傷つけ、何をしても喜びを感じられない事例をご紹介します。

 外面と裏腹に内面は満たされていない栄太さんのケース

栄太さん(42歳)はITの関連会社を経営しています。

仕事は至って順調です。

でも、若い社員が思い通りに働かないと、イライラして怒鳴ってしまいます。

「なんで何回も言わせるかな!もっと気をきかせろよ!」

そして、社員がオドオドした態度を見せると、なおいっそうイラだちは募り

「男のくせにグズグズするな!」

などと言ってしまいます。

そして、ダメだと思う社員は容赦なくクビにします。

だから、社員たちもビクビクしていますし、
自ら辞めていく人も後をたちません。

それでも業績は上がる一方ですし、趣味のドライブも満喫していますし、
立派なタワーマンションの最上階の部屋からは美しい夜景が広がります。

誰から見ても、栄太さんは成功者です。

それなのに栄太さんは、夜、眠れない、やる気が出ない、
いつも体がだるいという状態なのです。

そして、今日は病院で「うつ病」だと診断を受けてしまいました。

「なぜ俺がうつ病?」

と打ち消したい思いでいっぱいですが、確かに何をやっていても、
喜びや充実感を得られず、未来にも希望が持てないのです。

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