心理セラピストの中野日出美です。
私自身の大人の愛着障害の原因と克服した方法についてお話します。
1 私が愛着障害になった理由とは?
私は4歳違いの妹と両親の4人家族でした。
4歳までは1人っ子で、両親の愛情と関心を一身に受けて育ちました。
しかし、母にとっては、必ずしも満足のいく娘ではなかったでしょう。
元々、末娘で甘やかされて育った母は、善良で明るい性格の人でしたが、精神的には幼稚なところがありました。
赤ん坊はお人形のように可愛らしい女の子が欲しいと願っていたそうです。
ところが産んでみたら、
「あら? あまり可愛くないわ・・・」
ということで期待外れだったようです。
その4年後、生まれた妹は
「あら! お人形さんのように可愛い子がようやく生まれたわ!!」
ということで、母の関心は一気に、新しい赤ん坊へと。
私の養育担当は父になりました。
もちろん、育児放棄だとか、虐待などはありませんでした。
しかし、おそらく子ども心にはさまざまな思いがあったかと思います。
それからは、私は、父親っ子に傾いていきました。
お風呂も父と。
買い物も父と。
おやつも父と。
寝る時も父と。
こんな感じなので、当たり前と言えば、当たり前です。
少し大きくなると、母からの愛情を少しでも勝ち得るために、
手がかからない娘。
優秀な娘。
役に立つ娘。
優しく素直な娘。
になっていました。
母は良い人で、人の悪口などは言わない人です。
しかし、精神的に幼稚なので、自分で考え、自分の力で人生を生きることはできない人でした。
だから、何かあるごとに、私が相談に乗り、母の代わりに考えて、
「こうしたら?」
と提案したり、母の気持ちを延々と聞いて、励ましたりする役割を引き受けていました。
だから、母が私の心配をしたことは大人になるまで、ほとんどなかったと思います。
いつしか母にとって、私は守るべき対象ではなくなっていました。
さらに両親の離婚や義父と私の不仲などはますます私を孤立させていきました。
そして、私の中には・・・
「実の親にも無条件に愛されなかった私が、それ以外の人に手ばなしで、愛されるわけがない・・・
私は価値のない人間だ」
というビリーフができあがっていました。
大人になり、結婚をした私にとって、安定した性格の夫はまさに安全基地でした。
しかし・・・
愛着障害であった私は、子どもを愛する正しい方法がわかりません。
2人の子ども達を心から愛し、誰よりも幸せを願いながらも、
「きちんとした人間にしなければ!」
「親として、ちゃんと育てなければ!」
との思いから、子ども達にさまざまな負担を課していたように思います。
また、子どもの頃からの異常とも思える、動物に対する愛情は動物救助ボランティアという形になって、自分を駆り立てました。
子育て、家事、仕事、ボランティアは1年365日、毎日休みなく続きました。
その結果、ついに私は病気に・・・
そこまで来て、はじめて私は、自分の人生のシナリオがわかりました。
私の潜在意識にある人生のシナリオには、
「私は愛されない価値のない人間だ。
だから、親として、1人の人間として、精一杯努力し、何かしら役に立たなければ、存在してはいけない」
と書き込まれていました。
いくら頑張っても、無償の愛をくれない母に対して、心の深いところでは、まだ期待していたのですね。
2 どのように大人の愛着障害を克服したのか?
とうとう私は大病をし、死んでしまえば、これまで充分に愛してこなかった娘への後悔を母が抱いてくれるはずだ・・・と。
しかし、結果は期待したものではなく、死を目前にした娘にさえも、母は無償の愛をくれませんでした。
絶望した私を目覚めさせてくれたのは、娘の言葉でした。
「お母さん、もう母親からの愛情を得るために、尽くしたり、がんばらなくてもいいじゃない?
母親からは愛されなかったけど、私たち家族はお母さんを愛してるよ。必要としているよ!」
この言葉によって私は、
「本当にそうだ!!
今の私は、私がずっと欲しがっていた全てのものを、すでに持っているんだ!」
と実感できたのです。
そこからは本格的に、自分の愛着障害と向き合い、克服してきました。
私は自分で作った家族と、それまで学んだ心理学、セラピーの手法によって、自分の人生のシナリオを書き替えることができました。
そして、私のように大病をして、死と向き合わなくとも、愛着障害を克服し、人生のシナリオを書き替えることができる心理療法を独自に開発しました。
その【中野式】心理療法を、自分以外の方にも提供していこうと決めました!
大人の愛着障害ゆえに、自分自身を苦しめている方は驚くほど多いことに驚きました。
大人の愛着障害は、なかなか克服できないものとされています。
たしかに難しい道のりだと思います。
でも、大人の愛着障害は、しかるべき対応によって、克服できます。
3 大人の愛着障害を克服する方法とは?
一般的に、愛着は1歳半までの養育者との関わりの中で築かれるといわれています。
私は愛着障害でしたが、生まれてから4歳までは1人っ子であったこともあり、父や母との愛着は形成されていたと思われます。
そのせいで、人への不信感や決定的な自己否定感は持たずに済みました。
しかし、年齢が幼ければ幼いほど、愛着障害の重症度は大きくなりやすいものです。
子どもの心の傷が大きければ大きいほど、愛着障害ゆえの問題も大きくなります。
さらには、愛着障害の親は、子どもを愛着障害にさせやすい傾向も確かです。
世代間の連鎖は、悲劇を生み続けます。
では、どうしたらいいのか?
どこかで、できれば自分の代で、愛着障害の鎖を断ち切ることです。
「愛着障害かもしれない・・・」
まず、自分が気づくことから始まります。
自分と向き合うことは、時にとてもしんどいことです。
しかし、自分を客観的に見つめられる視点こそが、大きな武器になります。
私が独自に開発した愛着再形成療法では、心理セラピストがじっくりと共に、その方の人生に寄り添い、多角的にご自身を振り返るお手伝いをします。
過去に起きたさまざまな傷つき体験今、抱えている問題の根源的な原因を知り、愛の源泉を掘っていきます。
愛というものは奪ったり、盗んだりするものではなく、自分の中で生み出し、いくらでも自分を満たし、そして、他者へと与えても、決して減らないものであることを知っていただきます。
さて、愛着再形成療法を含む【中野式】心理療法は、なぜ他の心理療法とは異なる効果を期待できるのでしょうか?
その理論的背景をできる限りわかりやすく動画で解説しています。