超人見知りの園児が心理セラピストになった理由とは?

私は、幼少期から超人見知りで、幼稚園では場面緘黙症でした。

先生とも、お友達とも、誰とも話すことができず、園長先生から

「もう面倒を見きれません」

と言われ、退園させられたほどです。

幼稚園に行かなくてよくなりましたが、人間のお友達は一人もいませんでした。

私は、動物が好きで好きでたまらず、野良犬や野良猫だけが、お友達でした。

しかし、言葉を使わずに済む犬達とは、なぜだかすぐ仲良くなれたのです。

当時は近所に野良犬がたくさんいました。

私が外に出て行くと、いつの間にか、いつも何匹も犬達が集まって来ます。

犬達がぞろぞろと群れをなして、いつもの空き地に向かったのを、覚えています。

たくさんの野良犬がいました。

特に仲良しだった数匹は、いつも私の姿を確認すると、尻尾を振って近づいてきました。

そして、私の口をペロッと舐めて、挨拶します。

私も、まず彼らののど元あたりをなでます。

その後は首にしがみついて、彼らのほっぺた(口の横辺り)に、ブチュっ、ブチュっと、キスをします。

空き地でいつも何をしていたのか、よく思い出せません。

しかし、彼らの干し草のような匂いや、温かい毛や、ぬるっとした舌の感触を、忘れたことはありません。

そんな彼らと私が、どのようにコミュニケーションしていたのか?

もちろん人間の言語ではありませんでした。

言葉で説明するのは難しいのですが、なんとなくお互いに分かり合えるような、嘘のない真実だけの心の交流でした。

それは、時間も言葉も必要なく、こちらが思ったり、感じたりすると同時に、彼らはそれを察知し、彼らが思ったり、感じたりすると同時に、私は、それを察知するというものです。

それは、人間のやりとりのように、複雑で時間のかかるものでは、ありませんでした。

言葉を使わなくても、それだけで、充分お互いに、分かり合えたのです。

大人になっても、動物が好きでたまらず、動物救助のボランティア活動に携わり、人間から虐待されたり、捨てられたりした約3千匹の犬や猫たちと関わってきました。

そうした悲惨な目にあった犬や猫たちの訴えかけるような視線、悲しげな表情や、怯える仕草から、彼らの心がいかに傷ついているかを、察することができました。

抱っこすると、微かに震えているのが、肌で感じられます。

そんな時、私は、抱っこしたまま、その子の耳を私の左胸にあてて、心臓の音を聞かせます。

ドックン・・・

ドックン・・・

ドックン・・・

しばらくすると、体の震えが止まり、顔の表情も、少し穏やかになります。

そして、眠ります・・・

さて、生物の進化という観点からすると、人間や犬や猫は、同じ動物であり、哺乳類の仲間です。

哺乳類は、生まれてからすぐに、母親からの世話を受ける必要があります。

また、人間を含むいくつかの哺乳類は、生きていくために、長期間社会の中で、相互に助けあう関係を必要とします。

同じ哺乳類同士でも、知らない相手と遭遇したときに、安全か、危険かを、瞬時に察知する必要があったのです。

もし、危険と察知すれば、交感神経が働いて、戦うか、逃げるか、というストレス反応が起こり、呼吸や心臓の鼓動が速くなって、血液を体の末端の手足に送り込みます。

これは、祖先から進化の過程で受け継いだ哺乳類としての神経生理学的な反応です。

相手にそのようなストレス反応を起こさせないためには、自分が危険ではないというサインを、まず相手に送る必要があるのです。

相手が犬であれば、ニッコリと笑って、

「まぁ、かわいい子ですね~」

とか、声をかけながら、観察し、緊張している様子もなく、近寄ってくるようであれば、しゃがんで、顔の前に手の甲を差し出し、匂いをかがせます。

「私は安全なので、大丈夫ですよ。攻撃しませんし、仲良くしてね」

という犬への挨拶です。

犬と人間を一緒にしてはいけないのかもしれませんが、人間との接し方も、無意識レベルのコミュニケーションでは、基本は同じです。

ただ人間同士のコミュニケーションでは、他の動物とは大きく違う点があります。

それは、人間が言葉を使う意識レベルのコミュニケーションをすることです。

コミュニケーションを究めるための4つの能力とは?

無意識と意識の両方のレベルで、次の4つの能力を磨くと・・・

あなたが援助した方は、満足のあまり、ニッコリと微笑むでしょう。

1.観察力

2.表現力

3.質問力

4.分析力

まず、前半の2つの観察力と表現力は、無意識レベルのコミュニケーションの要です。

相手の表情や声、体の姿勢などを観察し、今、どういう状況にあるか、推察します。

ストレスが高くて、攻撃してきたり、逃げ出したいような雰囲気なのか、落ち着いていて、こちらの言うことを聞いてもらえる状況なのかを判断します。

この観察に基づき、相手の状態に合わせて、自分の表情や声、体の姿勢を調整します。

もし、相手が攻撃の姿勢を見せているなら、こちらも身構えるか、その場を離れるかをしないと、攻撃を誘発してしまいます。

相手が怯えたり、不安そうなら、少し距離を保ったまま、ニッコリ微笑み、

「私は安全で、攻撃したりしませんよ」

のサインを送り、やさしく声を掛けて、相手が落ち着くまで待つといいかもしれません。

医療や教育などの現場では、激務の上に、患者さんやお子さんの命を預かっている重圧から、ストレスが過度に高まる場面も、少なからずあると思います。

適度な緊張を保てるように、表現力を使い、状況をコントロールできるといいですね。

すると、お互いに信頼関係が生まれます。

後半の2つの質問力と分析力は、意識レベルで、言葉を使う人間特有のコミュニケーションの要です。

哺乳類として、祖先から受け継いできた非言語を使う無意識レベルでのコミュニケーション能力と、人間へと進化して使い始めたた言語による意識レベルのコミュニケーション能力を、状況に合わせて使うことが、コミュニケーションを究めるためには、不可欠なのです。

ただ、ここで大きな問題があります。

それは、コミュニケーション能力、特に表現力のトレーニング中に、よく起きます。

状況に合わせて、表現を変えようとしても、変えられないのです。

コミュニケーションが下手な理由に気づき、愕然とする人は多いです

今まで、全く意識していなかった自分の限界に気づいてしまうのです・・・

だからこそ、座学で理論を学ぶだけでなく、実際にトレーニングする意味があります。

でも、気づいてしまった以上、そのまま放っとけないですね。

だからこそ、自分の殻を破り、限界を突破できるといえます。

そうやって、コミュニケーションのトレーニングがきっかけになり、人生そのものを変えていった人たちを、今まで大勢見てきました。

コミュニケーション能力が上がれば、周りの人たちとの関係も、どんどんよくなっていくので、心から人生を楽しめるようになります。

今から、もう一つだけ、大事なことをお話します。

実は、状況に合わせて、自分の表現がワンパターンになってしまう根底には、お一人お一人の無意識レベルにある、自分や他人に関わる信念(ビリーフ)が関わっています。

この信念(ビリーフ)が、その人の考え方、感じ方、振る舞い方として、表現されるので、コミュニケーションのやり方を変えるためには、信念(ビリーフ)を変えることが根本的な解決策です。

23年間、私が心理療法で実践した核心は、この無意識レベルの信念を書き換えることでした。

私は、主に催眠を使って、無意識にアプローチしていますが、催眠を使った心理療法のの手法には、たくさんのバリエーションがあります。

実践を重ねる中で、私が独自に開発した技法もいくつかあります。

また、他の人が開発した技法でも、実践で使って、効果が高いものを、どんどん取り入れています。

相手や状況に応じて、最適と考えられる手法を、使い分けます。

意識へのアプローチで信念(ビリーフ)を、書き換えることは不可能ではないですが、通常は年単位で時間がかかります。

そのため、実際には、多くの人が無理だと思い、途中で諦めてしまいます。

無意識に直接アプローチする技法を使えば、短時間で、信念(ビリーフ)に変化を促せます。

今日、最初にお話したように、幼少期、そして大人になってからも、私は動物と密接に関わってきたので、無意識レベルのコミュニケーションを実践した経験値が、普通の人に比べ、高いのかもしれません。

しばらく話をしているうちに、今、相手の方がどんな状態かが、直観でわかってきます。

カウンセリングやセラピーの仕事中は、そこから質問をして、直観が正しいかを確かめたり、ご本人が気づいていない無意識レベルに潜む本当の問題は、何かを分析したりします。

そして、解決したら、どうなりたいのかもお伺いし、セラピーの内容を決めます。

こんなことが、自然にできるようになり、プロの心理セラピストになっていました。

対人援助職の方なら、観察力と表現力を駆使して、まず無意識レベルで相手の方と信頼関係を築きましょう。

その後に、質問力と分析力を駆使して、言葉によるコミュニケーションで、問題を特定し、相手の方の要望を取り入れ、解決策として、専門的な知識やスキルを提供します。

こういうコミュニケーションの流れを実践すると、相手の方から喜ばれる援助ができるでしょう。

対人支援職に限らず、現代社会では、ほとんどの商品やサ―ビスが高付加価値化、専門化が進んでいるので、あるゆる職業で使えると思います。

また、心に寄り添うコミュニケーションという意味では、仕事に限らず、プライベートでも、相手の気持ちに配慮しつつ、自分の気持ちを伝えられます。

親子、兄弟、夫婦などのご家族や、恋人、友人と親密な関係を築くために、きっと役に立つでしょう。

明日は、対人援助職の方が、無意識と意識の両方のレベルで、
コミュニケーションを究めるためのトレーニング方法について、さらに具体的にお話しようと思います。

ぜひ明日のメッセージをお楽しみに!

今日も最後までお読みいただき、どうもありがとうございます。