生きづらさの根本的な原因
生きづらさの根本的な原因は、人生脚本にあります。
人生脚本とは、私が心理療法の理論的な体系として使っている交流分析という心理学では「無意識の人生計画」と呼ばれるものです。
「無意識の人生計画」なのでほとんどの人は気づくことができません。
また修正するにも顕在意識からの働きかけだけでは長い時間がかかり、粘り強い根気が必要です。
なかなか効果が出ないので途中で諦めてしまうことも珍しくありません。
【中野式】心理療法では、催眠を使って潜在意識に働きかけて、人生脚本を修正するので、比較的短期間で効果が期待できます。
これが生きづらさから解放され、自分らしい生き方を取り戻す秘訣です。
催眠療法は人生脚本を修正するには、とても役に立つセラピーです。
しかし、実を言うと催眠療法だけに頼ることには限界があります。
この動画では、催眠療法のメリットとデメリット。
なぜ催眠療法だけではダメなのか?
その本当の理由。
深い悩みやや心の問題の軽減解消のために、顕在意識と潜在意識の両方に同時に働きかけることの重要性について、私の体験談も踏まえて分かりやすくお話ししていきます。
私は中野日出美。
親子関係改善専門の公認心理師です。
独自の心理療法を開発。
博士号を取得しました。
都心の赤坂診療クリニックで監修・指導をしています。
また親子関係の改善や「大人の愛着障害」「大人の発達障害」に対処できる心理カウンセラー心理セラピストの育成に務めています。
今ではお子さんを持つたくさんの親御さんたちにも、その方法をお教えし、実行していただくようになりました。
催眠療法のデメリットに気づいた苦い体験
開業して2~3年たった時、1度セラピーをして良くなったと言ってくれたクライアントさんが、なぜかまた戻ってくるようになったのです。
「またセラピーを受けたい・・・」
前にセラピーで改善した問題とはまた何か違う問題が起きて、それで悩んでまたいらっしゃるのです。
また来てくださるのは、私としては嬉しいのですが、何かが違う、これは私が目指しているセラピーではないのでは、と思わざるを得なくなりました。
例えば、40代の女性のあるクライアントさんのお話です。
その方は、中学校の2、3年生ぐらいからダイエットを始めました。
少しでも痩せようと食べる量を減らしたら、だんだん本当に食べられなくなり、生理も止まるほど痩せてしまい、摂食障害になってしまったのです。
その後、体重はだんだんと戻るのですが、ストレスを感じると大量に食べて吐くという過食嘔吐を繰り返していたそうです。
大人になって出産をした後も、その過食嘔吐の繰り返しが止まらず、私のセラピーを受けにいらっしゃいました。
その方に催眠療法をしたところ、すっかり癒されて、過食をとする機会は劇的に減っていきました。
ところが、その2年後またその方がいらして、小さな声でぽつりと言いました。
「娘が摂食障害になりまして・・・」
よくよくお話を伺っていくと、自傷行為もしているようで、
「私、どうしたらいいかもうわからない・・・」
と頭を抱え、目にはうっすらと涙を浮かべていらっしゃるのです。
この方の問題は終わったのに、今度は娘さんがまた同じ摂食障害になるとは、これはなんでなんだろう?
ああ、この方がどうやって自分の過食症を克服できたのか、わかってないのだから、娘にそれを教えられないよな・・・
実は、催眠療法というのは、セラピストが潜在意識にアクセスし、感情や感覚に働きかけて、行動の修正を図っていくセラピーです。
適切に行えば、辛いとか苦しいという感情や感覚が、ものすごく癒される効果があります。
そして、クライアントさん自身が、自分でもなんだかわからないうちに問題であった行動をしなくなるという特徴があります。
まあ、それだけでも、長年の悩みが解決できるのは、素晴らしいといえるでしょう。
しかし一方で、そもそも何が原因で、なぜその問題を解決できたのかを、クライアントさん自身が理解していないとなると、別の問題が出てきた時に対応ができません。
一時的な対症療法に過ぎなくなるがあることも否定できないのです。
そうなると、何か問題が起きるたびにセラピストに頼らなくてはなりません。
私が目指した心理セラピーのゴールは、そんなものではなかったはずでした。
もちろん、クライアントさんの問題や悩みが改善することが第一です。
しかし、それだけではなく、クライアントさんご自身が、自分の問題を自分で解決していけるようになること。
本当に自分の足で立って、人生を歩んでいくこと。
そして、自分の人生の手綱を自ら握り、望む通りの人生を手に入れること。
さらに、愛と喜びにあふれ、自信に満ちて、今、生きている充実感を噛みしめ、心から満喫すること。
そのお手伝いをすることが、私の心理セラピーのゴールなのです。
だから、それ以来、私はセラピーとして催眠療法だけを使うのはやめました。
【中野式】心理療法の特徴
私の【中野式】心理療法では、1回のセラピーの中で、顕在意識と潜在意識の両方に働きかけます。
そうすることで、クライアントさんの心の問題が解決に向かい始めるまでの時間を圧倒的に短縮できるからです。
まず、顕在意識に働きかけます。
心理カウンセリングをしながら、そのクライアントさんの日常生活で現実に起きている問題を丁寧にお伺いします。
次にその事例を使って、心の状態やそれが人間関係や人生全体にどう影響するのか、また、その仕組みをわかりやすくお話ししていきます。
さらに、自分の頭で考えられるように、どうしたら、心の問題が起きている原因に気づき、自分で解決できるかも教えしていきます。
そうしていると、自分自身で体験したことなので、クライアントさんの頭の中では自然に「気づき」が起きていきます。
その次に、催眠療法で潜在意識の奥深くに働きかけると、心からて気分がよくなり、行動の変化も促されます。
こうすれば、もしまた同じような問題が起きたとしても、クライアントさん自身が、自分の頭で考えて、人生の手綱を自ら握り、思い通りになります。
しかし、顕在意識か潜在意識のどちらか一方だけからアプローチを始めると、改善するのに時間がかかったり、途中で挫折したり、たとえ一時的には効果があっても、別の問題が起きたりします。
根本的な解決策には、なりにくいのです。
だから、私の【中野式】心理療法では、1回のセッションで、顕在意識と潜在意識の両方に働きかけるという手法を使っています。
今の日本では、主に言葉を使って、まず顕在意識に働きかける心理療法の手法が主流になりつつあるようです。
その主流の手法で、解決できる方はそれでいいのです。
しかし、それでは、なぜかうまくいかない。
なぜか理由がわからないのに、辛く苦しい状態が続いている。
そういう方に対して、心の2つの働きである顕在意識と潜在意識の両方に1回のセラピーで働きかけるのが【中野式】心理療法の大きな特徴です。
今まで長い間、苦しんできたクライアントさんが遠回りをせずに、素早く効果を実感できて、その後も自分の頭で考えて問題を解決できるようになること。
それが心理セラピーの核心だと私は信じています。
クライアントさんの顕在意識での気づき
さて、最初にお話しした娘さんが摂食障害になってしまったクライアントさんはどうなったのでしょうか?
その続きをお話ししましょう。
ご自身の摂食障害は克服できたのに、今度は娘さんの問題で頭を抱えているその方を見て
「あ、だめなんだ・・・
この人自身が自分の頭で考えて、気づいて、行動に移して行かないと、子育てはできないんだ」
と、私は気づきました。
そこで、誰にでも、とてもわかりやすい心理学の理論を少しずつ教えていきました。
人間は子どもの頃の親との関わり親の振る舞いや生き方を見て、親から受けたメッセージを知らず知らずに潜在意識の中に書き込んでいるものなのです、と。
「なるほど! わかりました!!」
突然その方は、大きな声で言いました。
「だから、私はこうだったんだな。
今、頭で、はっきりわかった!
自分の潜在意識の中にある自己高定感の低さだとか、自分で自分を認められなかっただとか、食べないことや食べることによって心の何を埋めようとしていたのかが・・・
変わった時には、言葉では説明できなかったことが、それがはっきりわかった!」
と、その人は言ったのです。
それから、とてもわかりやすい交流分析の理論をもとにして、親として、自分の娘さんにどんな言語・非言語のメッセージを与えていたのか、それから自分の振る舞い、生き方が娘さんにどんな見本になっているのか、ということに気づいてもらったのです。
すると、その人は潜在意識だけではなくて、今度は顕在意識でも気づいたのです。
そこから、娘さんとの関係性にも客観的に気づくようになって、娘さんに対する対応や、娘さんの問題行動に対しての反応の仕方が、少しずつ変わっていきました。
そのようにしていったら、娘さんの摂食障害も治り、自傷行為も止まりました。
それで、娘さんは大学に入り、そこから自分らしい人生を送れるようになったのです。
この体験を通じて私は学びました。
感情や感覚に働きかけて、潜在意識だけにアプローチすれば、その時のその人自身の問題は片付くでしょう。
しかし顕在意識で気づいてもらわないと、また違う問題を抱えてしまうかもしれない。
もし、そうなったら、その人の大切な人、特にお子さんに対しても、同じメッセージを知らず知らずに与えてしまい、世代を超えて受け継がれていくことがわかったのです。
人間の心の奥深には、ほとんど誰も気づかないようなこんな秘密が隠されているのです。
それからは、潜在意識に働きかけるだけではなく、顕在意識でも気づいてもらうことにしました。
さらに、自分が親から受けた影響とともに、自分が周りの人に与えている影響にも、気づいてもらうように、心理セラピーのやり方を変えることにしました。
今まで長い間苦しんできたクライアントさんが、遠回りをせずに、素早く効果を実感できて、その後も自分の頭で考えて問題を解決できるようになること。
それが心理セラピーの核心だと私は信じています。
【中野式】心理療法は心の2つの働きである顕在意識と潜在意識の両方に1回のセラピーで働きかけられます。
生きづらさから解放され、自分らしい生き方を取り戻すための心理療法です。
最後までお読みいただきどうもありがとうございました。