摂食障害で悩んでいた女性Aさん(29才、アルバイト)の事例
ただし、Aさんから許可をいただいた部分だけをご紹介しています。
セッション1回目
Aさんは現在、派遣社員として働きながら、外国語の勉強をしている素敵な女性です。
すらりとした長身と美しい顔立ちをしたAさんの将来の夢は、ヨーロッパでガイドとして働くことです。
将来のことや現在の仕事のことなどを、ニコニコしながら私に語ってくれるAさんは、初めてお会いした時のAさんとはまるで別人のようです。
初めてのセッションの時、Aさんは、私のもとにセラピーにくるまでの経緯を、次のように話してくれました。
Aさんが、はじめてダイエットを始めたのは中1の時。
3か月で10キロ以上痩せました。
それからも、どんどん体重は落ちて、中2の秋にはダイエットを始める前よりも、20キロ体重が減ってしまいました。
お母さんが心配して、いろいろな物を食べさせようとしても、どうしても食べられませんでした。
「太るのも嫌で、みんなに痩せているねって言われても、自分では太っていると思っていた」そうです。
だから、ちょっとでも食べ過ぎて、太ってしまったように感じると、翌日はコンニャクだけで過ごしたりという過激なダイエットをしていたようです。
「高校を卒業して、母と同じように看護師を目指して、看護学校に入りましたが、結局体力が続かず
1年で中退しました・・・」
お母様と同じく看護師を目指したAさんでしたが、看護学校の先生がAさんの体格や体調を心配して、学校の付属の病院で、Aさんに点滴で栄養補給をすることを強制したとAさんは言っていました。
点滴をされると体重がまた増えてしまうと怖れたAさんは、次第に学校に行かなくなり、中退したのです。
学校をやめたAさんは、アルバイトをしたり、家でゴロゴロしたりすることが多くなりました。
また、その頃から急に夜中に無性に食欲が出てしまい、冷蔵庫を漁ったり、家中にあるものを食べたりし出す、過食症になりました。
週に3回くらいは、コンビニで、5千円分位、菓子パンやお弁当やお菓子を買い、自分の部屋で一気に食べて、そしてその後、吐いているとAさんは泣きながら私に話してくれました。
さらに、食べている間はいいのですが、食べ終わると気持ちが悪くなるのだとも言っていました。
気が狂ったように次から次へと食べまくり、全部食べ終わった後、「また太るのではないか」と思い、
「吐かなきゃダメだ」という気持ちになりました。
でも、吐くと罪悪感でいっぱいになり、また「自分はダメな人間だ」と思うという悪循環でした。
Aさんは、お母様に連れられて、カウンセリングも受けました。
しかし、だんだん嫌になり止めてしまいました。
でも、ネットで前世療法を知り、受けてみたいと思うようになったようです。
「私がこんな風になってしまったのは、もしかして前世に関係があるのではないだろうか」
と思ったからです。
カウンセリングをした結果、私は、Aさんに、まずインナーチャイルド療法をすすめました。
そして、催眠に入り、小学校6年生に戻り、その後4歳と0歳に戻ってセラピーをしました。
セラピー後に、Aさんからいただいた感想です。
「不思議な気持ちでした。私は完全にその時の子どもや赤ちゃんになっていたからです。
いっぱい泣いて、そして話したように思います。
今は何だか心が温かく、もっと催眠療法を受けてみたい気持ちでいっぱいです。
中野先生、本当にありがとうございました。
どうぞ次回もよろしくお願いいたします」
セッション2回目
そして、Aさんは2回目のセッションにやってきました。
今回、私が選んだセラピーは、前世心理療法です。
セラピー後のAさんの感想をご紹介します。
「ただ一言、びっくりです。
まさか、私が今から何百年も前の中国の少女だったとは・・・
私は、中国の農村の貧しい少女で、字も読めないし、食べる物も満足に食べられないほどお金もなく、
毎日、畑仕事と家の手伝いをしていました。
毎日、お腹が空いて、一度でいいからお腹いっぱいお饅頭を食べてみたいと思っていました。
私は14歳の時に隣村の農家の家にお嫁に行かされ、そこでも奴隷のようにこき使われました。
それでも実家よりはまだお金持ちだったので、お饅頭をたまに食べさせてもらえました。
それが本当に楽しみで、楽しみで仕方なかったのをはっきりと思い出しました。
でも、私のことを気に入らなかった姑は、私よりも健康で働き者の嫁をもらいたくなり、私のお饅頭に、ある日毒を入れました。
お腹が空いていた私は、なんか変な味だなと思ったけれども、お饅頭を食べてしまいました。
私はそれから何日も苦しみ抜いて死にました。
中国の少女であった私から今の私へのメッセージは、
「あなたは、食べたいけれど食べたら命が危ないと思っているから食べれないのよ。
でも、あなたの食べ物には毒は入っていないし、もう、あなたのお母さんはあの時のお姑さんではないのだから大丈夫」
という驚きのものでした。
実は、中国の前世の時、お饅頭に毒を入れたお姑さんは、今の人生の私のお母さんだったのです!
びっくりしました。
催眠が終わって、先生といろいろな話をするうちに、いろんなことが、ぴたっとわかった気がしました。
私が食べることに恐怖を感じる理由や、それでも食べたいという強い気持ちや、今のお母さんに対する複雑な気持ちも。
今ではお母さんのことを少し客観的に見られるようになった気がします。
今回はびっくりの連続の回でした。
また次回、よろしくお願いします。
すごく楽しみになってきました」
セッション3回目
前回の2回のセッションの後、Aさんはお母さんとの関係性が少し変わったと言いました。
以下、彼女の話をまとめてみました。
「今までお母さんは、私にとって完璧な人でした。
絶対に間違わないし、弱音も吐かないし、母としても、妻としても、看護師としても、完璧な人だと思っていました。
けれども、この前、見た前世の中で、中国の少女であった私を毒殺したのは、その時の姑で、それが今回の人生のお母さんであることがわかってからは見方が変わりました。
どう変わったのかと言うと、前世の姑(今のお母さん)は、私を殺しはしましたけれども、姑自身も私と同じように少女の頃、貧しい家からお嫁に来て、そして、食うや食わずで働かされました。
子どもを妊娠している間でさえも、けっして休ませてもらえず、いつもお腹を空かせながら、働いていたのです。
そうやって、たくさんの子どもを産んで、死にもの狂いで働いて、何人かの子どもを死なせ、ようやく自分の存在を家族に認められるようになりました。
そんな姑にとって、前世の私である中国の少女は、昔の私を見ているようでもあり、また死にもの狂いで育てた跡取り息子の子どもも産むことができないダメな嫁だったのです。
殺されたことは哀しいし、恐ろしいことだと思います。
でも催眠中に先生に姑の幼い頃を見せてもらった時に、私は姑の貧しく幼い少女時代の姿を見て、憎しみが薄れたのを感じました。
そして、この前世体験をしてから、母に対する気持ちが大きく変わりました。
今までは、なんとなく母を怖く思っていたというか、もちろん尊敬していましたし、私を愛してくれていることもわかっていました。
だけど、何というか・・・
こう、所詮、きれいごとばかりを言う自分勝手な人というか・・・
誰もかれもが、あんたみたいに強くないよ・・・
みたいな・・・思いがありました。
それが、ああ、もしかして母がこんなふうに強くなったのにも意味があるのかなあ・・・
お父さんが頼りないからかな、とか、
いや、もしかしたら母子家庭で育ったせいかな、とか、
いろいろ思えるようになって・・・
そうしたら、なんとなく母も1人の人間なんだな、
なんて、おかしいんですけれども、そんなふうに思いました」
こんな具合にAさんは、かつてないほど、たくさん自分とお母様のことを話してくれました。
そして、その後、再びインナーチャイルド療法、そして、食べることと食べないことのコントロールをするためのイメージ療法をしました。
計5回のセッションが終わるころには、Aさんの過食は落ち着いてきました。
完全に全く過食が収まったわけではありませんが、週に2、3回あった過食が3、4か月に1度程度、
落ち込んだ時などに、普通の倍位食べてしまうという程度になりました。
そこで最後のセッションでは、Aさんの明るい未来を潜在意識にしっかりと刻み付けるようなセッションをして終了しました。
その後、Aさんは、派遣会社でアルバイトを始め、そして未来世心理療法で見た、ヨーロッパで生活している自分の姿に追いつくために、日々、一歩ずつ前に進んでいらっしゃいます。
このようなAさんが抱えている摂食障害という症状に対するセラピーは、最も難しいケースの一つです
しかし、現在、摂食障害を抱える人がとても多くなっています。
私もこれまでにずいぶんたくさんの摂食障害の方のセラピーをしてまいりました。
個人差はありますが、症状が改善された方は多くいらっしゃいます。