私はかつて大病をし、死と直面したことがあります。
子どもたちに遺言をするなどたいへんツラく苦しい体験をしました。
それまでの私は「生きている」と感じていたのですが、奇跡的な回復を遂げたとき「生かされている」と実感しました。
その時に、やりたいと思ったことの1つが、クライアントさんの心に寄り添えるプロの心理セラピストを育てることでした。
特に、死に直面したご本人やご家族への心のケアができるプロの心理セラピストを育てたいと思いました。
その理由は自分が死に直面したときそのどうしようもない気持ちを、
「誰かに受けとめてもらいたい・・・」
と、心からの強い欲求を感じたからです。
「魂の叫び」と言えばいいでしょうか?
専門用語では、「スピリチュアルニーズ」とも言われます。
また、こうした死に直面した方々の心の苦痛を「スピリチュアルペイン」、その苦痛に対するケアを「スピリチュアルケア」と言います。
がん患者の緩和ケアなどを行っている医療領域では、「スピリチュアルケア」という概念が浸透しつつあります。
病院の中では、ご家族や医療スタッフが、死にゆく人を看取る体験を、現実として受けとめざるを得ないからです。
しかし、日本の心理領域では「スピリチュアルケア」への対応が、当時は、ほとんどありませんでした。
今もって、ごく一部に止まっているように思われてなりません。
一般的にスピリチュアルケアは、これから人生に別れを告げなければならない方やそのご家族に必要なものと思われています。
しかし、スピリチュアルケアを必要とする方はそれだけではありません。
地震や台風などの自然災害や事故などで生命の危機にさらされた方が、トラウマケアの一環として、スピリチュアルケアを必要とする場合も少なくありません。
また、私自身が愛着障害を克服したので、よくわかるのですが、大人の愛着障害で、子ども時代の複雑なトラウマを抱えている場合も、スピリチュアルケアが必要となることが多いです。
なぜならば、せっかく生まれてきたのに、
・親から無条件の愛を受けられない
・自分の存在を認めてもらえない
ようなことが頻繁に起こると、その子どもにとって、とても大きな不安や恐怖、怒り、悲しみを繰り返し感じるからです。
毎日が、生きるか死ぬかの瀬戸際で、その体験が複雑なトラウマとなります。
その心の傷が癒されないまま大人になり、ストレスがかかると、心の奥の深い傷が原因となって、心や体、人間関係などにさまざまなネガティブな症状としてあらわれるのが、「大人の愛着障害」です。
「大人の愛着障害」を抱えた方は、
「なぜ、私は生まれてきたのだろう?」
「私が存在する意味とは、なんだろう?」
という自分の存在に対する根源的な答えを探し続けているものです。
これは心の奥深くから湧き上がる、いわば「魂の叫び」です。
そのため、大人の愛着障害を克服するには、子ども時代の心の傷のトラウマケアと同時に、スピリチュアルケアも、必要となるケースが、ほとんどです。
人間は、自分がこの世に存在してもよい理由を潜在意識と顕在意識の両方で納得し理解できて、はじめて安心して生きていけるからです。
私自身、愛着障害を克服した実績があり、また死に直面したツラく苦しい経験から、魂が痛いほどスピリチュアルペインやスピリチャルニーズを実体験しました。
だからこそ、かつての私と同じように苦しんでいるクライアントさんを、心の奥深く魂レベルでいやすスピリチュアルケアとしての心理療法を独自に開発できたのです。
しかし、「大人の愛着障害」の克服には、トラウマケアだけでなく、スピリチュアルケアも必要だということに気づいている日本の心理職はほとんどいないようです。
多くの日本の心理職が「大人の愛着障害」の対応に苦慮しているのに対し、顕在意識と潜在意識の両方に働きかける【中野式】心理療法は、複雑なトラウマケアだけでなく、スピリチュアルケアも心理療法として実践できます。
これがより早くより高いご満足をいただきながら、「大人の愛着障害」の克服を支援できる理由の1つです。